治療内容

神経ブロック治療

神経ブロックのしくみ

痛みの原因となる神経のそばに局所麻酔薬を注射し、痛みの信号が脳へ伝わるのをおさえて、痛みの悪循環を断つ治療です。繰り返し行うことで、麻酔が切れたあとも痛みが軽くなる効果が期待できます。

当院で行う主な神経ブロック

46種類以上に対応し、痛みの部位や原因に合わせて使い分けます。

仙骨ブロック
硬膜外ブロック
神経根ブロック
星状神経節ブロック
腕神経叢ブロック
椎間関節ブロック

治療の頻度と目安

  • 頻度週1回程度
  • 効果の確認5回ほど行った時点で評価
  • 効果ありそのまま治療を継続
  • 効果が不十分薬・リハビリ・手術など別の治療へ切り替え

血液をサラサラにするお薬・免疫抑制薬を使用中の方、糖尿病の数値(HbA1c)が8以上の方は、出血・感染のリスクから神経ブロック治療以外の治療になります。

低侵襲・画像下治療

経皮的髄核摘出術(L'DISQ/Disc-FX)

椎間板ヘルニアによる強い痛みに対する、針だけで行う「切らない手術」です。

  • 対象腰椎椎間板ヘルニア(主にコンテインドタイプ)
  • 入院2泊3日
  • 手術時間30分〜1時間程度
  • 麻酔局所麻酔のみ(全身麻酔は不要)
  • 費用の目安自己負担6〜8万円程度(保険適用)

椎間板ヘルニアとは?

背骨と背骨の間には、クッションの役割をする「椎間板(ついかんばん)」というやわらかい組織があります。この椎間板が何らかの原因でつぶれて飛び出し、近くを通る神経を圧迫したり、炎症を起こしたりすることで、腰や脚に痛み・しびれが出る病気です。

腰から、お尻、太ももの裏、ふくらはぎにかけて痛み・しびれが出ることが多く(いわゆる坐骨神経痛)、20代〜40代の働き盛りの方に多くみられます。

ヘルニアには、3つのタイプがあります

同じ「椎間板ヘルニア」と言っても、椎間板の状態によって3つのタイプに分かれます。タイプごとに「痛みの出方」も「効きやすい治療」も違うため、まずはどのタイプかを見極めることが大切です。

タイプ1の図:椎間板の外側がふくらんで神経を押している状態
タイプ1:神経が押されて痛むタイプ

椎間板の外側がふくらんで神経を押している状態です。中身はまだ飛び出ていません。

座ったり立ったりすると痛みが強く、横になると楽になる
神経ブロックの効きはあまり良くないことが多い
必要に応じて「切らない手術(経皮的髄核摘出術)」を検討します
タイプ2の図:椎間板の中身が飛び出して神経にふれて炎症を起こしている状態
タイプ2:神経に直接ふれて炎症が起きるタイプ

椎間板の中身が飛び出して、神経に直接ふれ、強い炎症を起こしている状態です。

痛みが激しく、寝ていても痛むことが多い
神経ブロックがとてもよく効きます
ブロックを繰り返すことで、治癒も期待できます
タイプ3の図:時間が経過し神経のまわりに癒着ができている状態
タイプ3:長く続いて慢性化したタイプ

飛び出した椎間板の中身は時間とともに小さくなっていますが、神経のまわりに癒着(神経のまわりに繊維組織が絡まる状態)が起き、痛みが続いている状態です。

神経ブロックである程度よくなるが、完治しにくい
必要に応じて「ラッツカテーテルによる神経形成術」「硬膜外腔内視鏡による癒着剥離」を検討します

タイプごとに、適した治療は異なります。ここからは、当院で行う主な治療について、もう少しくわしくご紹介します。

経皮的髄核摘出術(切らない手術)

主にタイプ1のヘルニアへの治療

「神経が押されて痛むタイプ(タイプ1)」のヘルニアに対しては、当院では「経皮的髄核摘出術」という切らない手術を中心に行います。針だけで行う、体への負担が少ない手術です。腰から針を刺し、その針の中から特殊な装置を入れて、椎間板の一部を取り除いたり焼灼したりして、椎間板内の圧力を下げます。圧力が下がることで神経への圧迫が減り、痛みがやわらぎます。

  • 手術時間約30分
  • 麻酔皮膚の局所麻酔のみ(全身麻酔は不要)
  • 入院2泊3日
  • 費用保険適応で、自己負担6〜8万円程度
  • 術後すぐに歩けますが、約2か月コルセットを着用し、激しい運動は避けます
  • 術後リハビリ週1回のリハビリを1ヶ月間行います

主に「神経が押されて痛むタイプ(コンテインドタイプ)」のヘルニアが対象です。事前に「椎間板造影検査」でタイプを診断してから適応を決めます。椎間板性の腰痛や、椎間板が突出した脊柱管狭窄症の方も対象になります。

当院では症状に応じて、以下の3つの装置を使い分けています。

腰椎L'DISQの処置イメージ:椎間板の断面でプラズマ先端が髄核を焼灼している図
腰椎L'DISQ(プラズマ椎間板減圧術)

針から最小侵襲のデバイスを入れ、椎間板を効率的に焼灼して、椎間板内の圧力を下げます。神経への圧迫が減り、痛みが早くやわらぎます。慢性化したヘルニアにも効果が認められています。

手術中の神経障害リスクを下げるため、鎮静(眠らせる処置)は行いません
術後、一時的に腰痛が増強することがあります
腰椎DISC-FXの処置イメージ:椎間板の断面と使用するデバイスの図
腰椎DISC-FX

針から鉗子(かんし:ハサミ状の器具)を入れる外筒を、椎間板内に挿入します。まず鉗子でヘルニアの元になる髄核を削り、その後に特殊なデバイスで焼灼。椎間板内の圧力を下げ、神経の圧迫を減らします。

術後、一時的に腰痛が増強することがあります
頸椎Trigger-Flex Dartの処置イメージ:高さが低くなった椎間板に針を刺し、先端で髄核を焼灼している図
頸椎Trigger-Flex Dart

椎間板の高さが低くなっていて、腰椎DISC-FXの対象にならない方が対象です。針を刺して最小侵襲のデバイスで髄核を焼灼し、椎間板内の圧力を下げます。手術時間は約30分。

鎮静は行いません
術後、一時的に腰痛が増強することがあります
この治療は、2026年7月からは自費診療になります
入院から退院までの流れ
  1. 手術当日に入院していただきます
  2. 当日朝から、感染予防のために抗生剤の点滴を行います(その後3日間は内服)
  3. 手術は30分〜1時間ほどになります
  4. 術後、トイレ歩行は可能ですが、できるだけベッド上で安静にしていただきます
  5. 手術翌日、診察後退院となります

硬膜外癒着剥離術(Raczカテーテル)

神経ブロックが効きにくい痛みに対する治療です。

  • 対象腰部脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニア・腰椎術後の痛み
  • 入院2泊3日
  • 手術時間約1時間
  • ご注意造影剤アレルギーのある方は申し出てください。

神経ブロックが効きにくい痛みとは

硬膜外腔に癒着があると、神経ブロックの薬が広がらず、効きにくくなります。長く続いて慢性化した椎間板ヘルニアなど、神経のまわりに癒着が起きた状態が対象です。

本治療は、尾骨の付け根の小さな穴から細いカテーテルを入れ、薬液の圧力で癒着をはがしながら、薬剤で炎症をしずめる方法です。治療前に造影剤で癒着部位を確認するため、造影剤アレルギーのある方は受けられません。

主な対象疾患

  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 椎間板ヘルニア
  • 腰椎術後の痛み(手術後は癒着が強く、はがせない場合があります)

入院から退院までの流れ

  1. 手術当日に入院していただきます
  2. 手術は約1時間、うつ伏せで実施します
  3. 3日目、診察後退院となります

脊髄刺激療法(SCS)

難治性の痛みに対する治療です。

  • 対象脊椎術後の痛み・帯状疱疹後神経痛・CRPS など
  • 入院トライアルのみの場合は1週間程度、トライアルと埋め込み術を同じ入院中に行う場合は3〜4週間程度
  • MRI対応1.5T MRI対応機種なら埋め込み後も撮影可能

脊髄刺激療法のしくみ

硬膜外腔に入れた電極からの電気刺激で、痛みの信号が脳へ伝わるのをやわらげます。3か月以上続く慢性的な痛みが対象です。

もともとの痛みをすべて取り切る治療ではなく、「つらい痛みとうまく付き合うための方法の一つ」です。まずトライアル(試験刺激)で効果を確認し、効果があれば本体を体内に埋め込みます。

主な対象疾患

  • 脊椎術後の痛み:手術後の癒着で神経ブロックが効きにくい場合に。
  • 帯状疱疹後神経痛:3か月以上続く、触れるとビリビリする痛みに。
  • 複合性局所疼痛症候群(CRPS):運動療法が難しいときの補助として。

いずれも、まずトライアルから始めて効果を確認します。

入院から退院までの流れ

トライアルと埋め込み手術を1回で行う場合は、約2週間の入院となります。

  1. 手術当日に入院
  2. 当日朝から抗生剤の点滴(その後5日間は内服)
  3. 手術は約1時間、うつ伏せで実施
  4. 刺入部は毎日消毒(電極挿入中は入浴・シャワー不可)
  5. トライアルは退院前日に電極を抜去、埋め込みは創部を確認して退院

椎間関節高周波熱凝固療法

圧迫骨折にともなう痛みや、椎間関節が原因で起こる腰の痛みに対する治療です。

  • 対象腰椎・胸椎の圧迫骨折・椎間関節性腰痛症
  • 入院1泊2日
  • 手術時間30分程度

脊椎圧迫骨折とは

転倒や重い物を持ち上げたときなどに起こる骨折で、高齢の方に多くみられます。背骨の関節(椎間関節)に負担がかかり、動くときに痛むことがあります。この関節の痛みを伝える神経を90℃の熱で処置し、痛みをやわらげます。対象は腰椎・胸椎の圧迫骨折の方です。

入院から退院までの流れ

  1. 手術当日に入院
  2. 治療は30分程度
  3. 術後はできるだけベッド上で安静に
  4. 翌日、診察後退院となります。

リハビリテーション

痛みとリハビリテーション

痛みが続くと体をかばい、筋力や柔軟性が低下して、さらに痛みが長引く悪循環におちいります。リハビリはこの悪循環を断ち、薬や神経ブロックと並行して、体の機能と日常生活の回復を支えます。低出力レーザー治療なども組み合わせて行います。

当院で行うリハビリテーション

運動療法

物理療法

痛みへの不安への対応

セルフケア指導

集学的痛み治療

チームで支える痛み治療

医師・看護師・公認心理師・理学療法士・放射線技師がチームとなり、毎週カンファレンスで患者さんの状況を共有・検討します。薬・神経ブロック・低侵襲治療・リハビリ・心理支援を、症状や生活に合わせて組み合わせ、心身の両面から「日常を取り戻す」ことを目指します。

当院の4つの特徴

痛みの専門診断

神経ブロック・低侵襲治療

痛みに特化したリハビリ

チームで支える
集学的治療

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